初飛行 : 1955年8月1日
運用開始 : 1957年
ロッキード社の開発チーム・スカンクワークスが
F-104をベースに開発し
アメリカ空軍とCIAに採用された高高度偵察機
公式ではないが、ドラゴンレディ(Dragon Lady)という愛称がある
オリジナルのU-2はCIA資金により、ロッキードが開発した高高度スパイ偵察機で
1955年8月4日、1号機が進空したのに続いて計55機生産され
冷戦時代から現代に至るまで、アメリカの国防施策にとって貴重な情報源となっている
U-2は細長い直線翼を備え、高度82,000ftという高高度を飛行し、偵察用の特殊なカメラを積み
冷戦時代はソ連など共産圏の弾道ミサイル配備状況をはじめとする機密情報を撮影した
その長大な主翼と機首形状の違いから、原型が
F-104であるとは想像しし難いが、胴体形状はほぼ同一である
高度82,000ftという高高度を飛行するために、機体は徹底的に軽量化され
主翼は誘導抵抗を減らすためのグライダーのような縦横比の大きな形状になっている
その結果、揚抗比は20以上あるが、ミサイルが付近で爆発した際の爆風で機体が破壊し墜落するほどに脆い
また、高高度を飛行中の最大速度と高高度における失速速度の差はわずか時速18kmであり
もっとも操縦の難しい軍用機とされている
その並外れた高高度性能は、要撃戦闘機による撃墜を避けるため
敵機が上昇し得ない高高度を飛行するためのものだったが
後に対空ミサイルの発達により撃墜が可能となってしまった
そのため、今後このような高高度を飛行するための特殊航空機は実験機以外は出てないであろう
現在は、撃墜される危険のある地域を強行偵察することは困難であるが
電子/光学センサーの進歩は著しいものがあり
直接敵国上空を飛行しなくとも、かなりの情報収集が可能になっている
(敵国の付近を飛ぶだけでも、通常高度500~600kmの低軌道に位置する偵察衛星に比べれば
遥かに近い距離からの偵察であり、より精度の高い情報収集が可能である)
パイロットは高高度を飛行するため、特殊な与圧スーツを着用する必要があり
このスーツは宇宙服とほぼ同様で、違いは色と生命維持装置が直接付いているかいないか
及び宇宙空間での推進装置が無いだけであるという
後継機であるSR-71が退役した現在も
湾岸地域やボスニアでは有力な情報収集手段となっており現役で活躍中である
アメリカ空軍はコクピット等のアビオニクスの機能を向上させ
エンジンをF118-GE-101に換装した性能向上型U-2Sへの改修計画を進めている
またNASAではその特殊性から研究機ER-2として、大気の測定などに使用されている