初飛行 : 1968年12月31日
運用開始 : -年
ソ連のツポレフ設計局で設計・製造された超音速輸送機
Tu-144はその外観がコンコルドに非常に似ており産業スパイ説があるものの、初飛行はこちらの方がコンコルドよりも1年早かった
1950年代後半、西側の航空先進国では超音速輸送機の研究や構想が盛んに行われており
音速の二倍で飛び大西洋間の日帰り旅行が可能となるなど
将来的には商用旅客機のほとんどは超音速輸送機になるだろうと思われており
ソ連でのこの種の航空機の必要性は高いとは言えなかった物の、西側より優れた科学技術を誇示する為と
広大なソ連邦の中で政府高官や重要な物資や郵便物を移動させるのには
超音速輸送機の需要が無いとも言えなかったため
ソ連においても超音速輸送機の開発が始められる事となった
超音速旅客機の開発のために、まずMiG-21を用いた2機の試験機が製造された
この機体はMiG-21I「アナローク」と名付けられたが
尾翼付きデルタのMiG-21に対し、MiG-21Iは無尾翼のオージー翼を備えていた
その後、原型機が製作され、コンコルドより2ヶ月早い1968年12月31日に初飛行した
この原型機は量産型のTu-144Sと異なる点が多く
主翼はコンコルドそっくりのオージー翼だったが機首のカナードは装備されておらず
量産型Tu-144Sより翼幅はやや小さく、胴体もやや短かった
4基のエンジンは中央にまとめられてその外側で主脚が出入りし
コックピット風防前のバイザーの窓はよりコンコルドに近い形のものであった
Tu-144原型機で試験が行われた後、量産型Tu-144Sが製造され1971年7月1日に初飛行した
量産型のTu-144Sは、製作の面倒なオージー翼ではなく
オージー翼の曲線を2本の直線で置き換えたダブルデルタ翼が取り入れられ、翼幅、翼面積ともに拡大された
また、離着陸時にのみ展開し、大きく機首上げモーメントを生じさせる引き込み式のカナードが装備され
エレボンをフラップとして用いることが出来るようになり、離着陸性能が大幅に向上した
大迎え角となる離着陸時に視界を確保するためコンコルド同様に機首を下げられるようになっていたが
コンコルドのように機首とバイザーが別に動作するのではなく、単にバイザーごと機首が上下するようになっていた
胴体後部に過熱や振動などの問題を引き起こしていたエンジンは、左右2基ずつに分離され外側に移された
このためにエンジン構造と主脚とが主翼下面で競合するため、主脚は小径のタイヤ8輪を装備する変わった構造とされ
エンジン2基をまとめたポッドの、それぞれのエンジンのダクトの間に引き込まれた
また、コンコルドとは異なりマッハ2での超音速飛行時においても
アフターバーナーを焚き続けなければならなかったと言われている
Tu-144は、カタログ性能面ではコンコルドをほぼ全ての面で凌駕していたが、2度致命的な墜落事故を起こしており
事故後、唯一の運航者アエロフロートで貨物便としての運航が開始されたが
コンコルドをもはるかに下回る劣悪な燃費性能のため間もなく運航が中止され
旅客便としての運航はわずか102便で終わている
ツポレフは燃費向上のためイギリスから有償で技術供与を受けるなどしたが解決には至らず
生産数は原型機1機、量産型のTu-144Sが10機、性能向上型のTu-144Dが5機の計16機が製造されるにとどまった
性能諸元 (TU-144S)
乗員 : 4名
定員 : 140名
全長 : 65.70m
全幅 : 28.00m
全高 : 12.50m
翼面積 : 503m²
空虚重量 : 98,000kg
通常離陸重量 : 150,000kg
最大離陸重量 : 195,000kg
燃料容量：-kg (-L)
発動機 : Kuznetsov NK-144A turbofans×4基
Dry -kN (-lbf) / A/B -kN (-lbf)
推力重量比 : -
最大速度 : マッハ 2.35
航続距離 : 3,080km
フェリー飛行時 : -km
離陸滑走距離 : -m
着陸滑走距離 : -m
実用上昇限度 : -ft
最大G : - |
| TU-144(044) | 最初のプロトタイプ。NK-144エンジンを搭載し機体構造とデザインも非常に異なっている |
| TU-144(004) | プリプロダクションのプロトタイプ |
| TU-144S | 量産型。エンジンをNK-144Aに換装、エンジンとギアの搭載位置変更し主脚は珍しい小径のタイヤ8輪としている
胴体を少し太く長くし、オージー翼からダブルデルタ翼に変更された
引き込み式のカナードエレボンをフラップにした為、離着陸性能が大幅に向上した |
| TU-144D(004D) | エンジンを燃費の良いRD-36-51に換装 |
| TU-144LL | プロトタイプ。エンジンをNK-32-1に換装して1996年に初飛行 |
| TU-144DA | 搭載燃料を増やし航続距離を7500kmまて引き伸ばした型 |
| TU-144P | 電子妨害機。計画のみ |
| TU-144PR | 偵察と電子妨害機。計画のみ |
| TU-144K | ミサイルを搭載した長距離航空機。計画のみ |
| TU-144KP | ミサイルを搭載した長距離航空機。計画のみ |
| DP-2 | 長距離迎撃機。計画のみ |
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