初飛行 : 1970年11月16日
運用開始 : 1972年4月26日
ロッキード L-1011 トライスターは、アメリカ合衆国のロッキード社が開発・製造した同社唯一のワイドボディ3発ジェット旅客機
有名な「ロッキード事件」の引き金ともなっている飛行機
ロッキード社として初のジェット旅客機として1960年代に開発が開始され、1972年にイースタン航空をはじめとする航空会社への引渡しが開始されたが
ターボプロップ機のロッキード L-188 エレクトラを開発している間に
ライバル社はボーイング707、DC-8といったジェット旅客機の開発に成功しており、ロッキードはジェット化の波に乗り遅れており
さらに、エレクトラ自体が設計ミスで空中分解事故を起こすなど、旅客機メーカーとしての地位は大きく低下してしまっていた為
起死回生を狙って先進的な旅客機として生み出されたのがトライスターであった
軍用機開発や宇宙開発で培ったロッキード社の持つ技術力の全てをトライスターに投入すべく、当時としては先進的な機能を多く盛り込んでおり
特にアビオニクスには、アポロ計画にも導入されたメカニズムまで盛り込まれた。
それらの中には、2013年時点における最新鋭機と呼ばれる機種にさえ搭載されていない機能も存在している
計器のスイッチ類は、トグルスイッチなどを極力廃し、スイッチが入っている時にはスイッチ自体が点灯する当時の旅客機では目新しい装備を備えている
とりわけ、自動操縦装置については軍用機のトップクラスメーカーとしてのノウハウが生かされており
エリア・ナビゲーション・システムを旅客機としては初めて採用しており、離陸直後から着陸までを全て自動操縦とする事が可能になった
他にも水平尾翼は昇降舵と連動して尾翼全体の角度を変える「オールフライングテール」を採用しており
旅客機での「オールフライングテール」の採用はホーカー・シドレー トライデントに続く2例目で、ワイドボディ機では初採用であった
このように、当時としては相当先進的なものが採用されており、現在のいわゆる「ハイテク機」の元祖ともいえる存在である
ハイテクだけでなく、客室にも配慮しており
側面窓にはカーテンやブラインドの装備はなく、偏光ガラスを2枚重ね、これを回転させることで透過光量の調整が可能となっている
しかし、その後この機能を採用する機種は現れなかった
登場当時の標準的な座席配置は2列-4列-2列の配置であるが、荷物棚は窓側座席の上にしかなく
その代わりに、中央の4列をさらに2列ずつ区切り、その間に仕切りをかねた荷物置き場を設置していた
しかし、結果的に機内持ち込み手荷物を収納するスペースがライバル機と比べて少なくなり、乗客や客室乗務員から悪評を買うこととなった
そのほかにも、トライスターの特徴的な標準装備として、床下に設置されたギャレーが挙げられる
これは、床下前方貨物室の後端部に幅5.7メートルで奥行きが4メートルほどの空間を確保し、ギャレーとして使用したもので
キャビンを乗客用に有効活用することと、料理の臭気などがキャビンに流れないようにするため採用された
専用のドアと窓が存在するため、キャビンを通さなくても食材の積み下ろしが可能となっている
中2階の客室・貨物室構造にエレベーターを設置、乗務員の運搬負荷の軽減にも取り組むなど、堅実かつ挑戦的な設計がふんだんに施されていた
しかし、エンジン開発の遅れや、ボーイング社やマクドネル・ダグラス社の販売網に太刀打ち出来なかった事などから販売は不振に終わり
販売不振を打開しようと賄賂工作で売込みを図った一例が「ロッキード事件」となっている
そうした結果、トライスターの販売不振によりロッキードが民間航空機事業から撤退するきっかけともなった
同じ第三世代のジェット旅客機でライバルにあたるDC-10やボーイング747が設計上の欠陥により大事故を引き起こしたのに比べると
トライスターは機体のトラブルや欠陥による重大事故は2014年10月現在、発生していない
性能諸元 | L1011-1 | L1011-200 | L1011-200 |
乗員 | 3名 | 3名 | 3名 |
定員 | 253名 | 263名 | 234名 |
全長 | 54.2m | 54.2m | 50m |
全幅 | 59.6m | 64.4m | 68.5m |
全高 | 16.7m | 16.7m | 16.7m |
翼面積 | 321.1m² | 321.1m² | 329.0m² |
空虚重量 | -kg | -kg | -kg |
通常離陸重量 | -kg | -kg | -kg |
最大離陸重量 | 195,000kg | 209,000kg | 225,000kg |
燃料容量 | 90,150L | 100,320L | 119,780L |
発動機 | RB.211-22 x3基 42,000lbf (187kN) | RB.211-524B x3基 50,000lbf (222kN) | RB.211-524B x3基 50,000lbf (222kN) |
推力重量比 | - | - | - |
| | | |
最大速度 | マッハ0.95 | マッハ0.95 | マッハ0.95 |
航続距離 | 7,871km | 9,140km | 11,279km |
離陸滑走距離 | -m | -m | -m |
着陸滑走距離 | -m | -m | -m |
実用上昇限度 | 42,000ft | 42,000ft | 43,000ft |
L-1011-1 | 基本型。中・近距離路線型モデル。エンジンはRB211-22Bを搭載 燃料搭載量を90,140リットルとし最大離陸重量は195,050キログラムとなった 社有機の1号機を含めて162機が生産された |
L-1011-50 | 最も簡単な改修内容を行なった性能向上型。最大離陸重量が204,120kgに変更された、28機を改修 |
L-1011-100 | -1型を改修した航続距離延長型。中央翼に燃料タンクを増設して、燃料搭載量を100,317リットルとした さらに最大離陸重量を211,380kgに引き上げた結果、航続距離が35%増加した。 エンジンはRB211-22Bか推力向上型のRB211-22Fを使用。14機が製造され、-1型からの改修が20機程度 |
L-1011-150 | -1型を改修した型で最大離陸重量は213,190kgに高めたがエンジンは変更されていない -1型から6機が改修された |
L-1011-200 | -100型のエンジンをRB211-524Bに変更した上で、燃費を改善し航続距離を-100より5%程度延長した仕様 -1型で標準だった床下ギャレーをキャビンに移した上で、貨物室の容量を確保した 新造機は24機、-1型および-100型からの改修が約20機 |
L-1011-250 | -200型の中央セクションに新たに燃料タンクを設けて燃料容量を119,774リットルとし 最大離陸重量を224,990kgに引き上げた長距離型 機体外見は変わらないが重量増加に対応して主翼や胴体の構造を強化している |
L-1011-300 | 胴体ストレッチ型で、-1型より6.10メートル胴体を延長している。初期にはL-1011-3と呼ばれていた |
L-1011-400 | 後述の-500型と同じ胴体に-1型と同じRB211-22Bエンジンを搭載する短・中距離型 |
L-1011-400A | 前述の-400型の胴体をさらに2.03メートル短縮した仕様 |
L-1011-500 | 航続距離を伸ばした長距離型。 胴体を主翼前方で2.54m、後方で1.58mの計4.12m短縮し軽量化を図ったほか 床下ギャレイを床上ギャレイに変更して、床下貨物室のペイロードについては基本型とほぼ同等を確保した 燃料容量と最大離陸重量が-200型と同じであるがエンジンを新型のRB-211-524B4に変更 フルペイロードでの航続距離は9,905kmで-200型より33%改善している |
L-1011-600 | 双発機型。全長と全幅を短くしている。計画のみ |
K1/KC1/C1/C2/C2A | イギリス空軍が-500型を元にした空中給油機や軍用輸送機として9機を運用している K1(2機)は空中給油機、KC1(4機)は輸送機兼給油機、C2(2機)とC2Aは輸送機として用いられている |
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